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だけど、何かが物足りない……。
腹の底に穴が空いたような空虚感に、包まれていることも事実だった。
やはり安定よりもスリルに生きて喜びを得る。
これが男の生き様ってものではないだろうか。
「俺っちの話聞いてる?」
少し考え事をしていただけなのに、
実際にはかなり時間が経ってしまっていたようだ。
煙草の灰が長くなって今にも落ちそうになっている。
ガイはずっと答えを待っていたようなので、わざと明るめに答えた。
「聞こえてるよ。悪いな。少し考え事をしていたんだ」
「そうなんか。まぁそれにしても、明日からちょっち鬱だよな。気晴らしに今日俺っちと町にでも下りてみねぇか?」
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