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荘厳な造りの大きな建造物、ヴァイス聖会は焔に包まれていた。
「嘘だろ……、どうして……」
ロクシスの口から出てきたのは、現実を受け入れられない、呟きにもならない呟きだった。
たどたどしい足取りで、聖会に近づいていくと、聖会のドアが開き、中からリリィが飛び出してきた。
「リリィ! 無事か!」
「ロクシィ! 来ちゃダメ!
異法使いがっ!」
リリィが言い終わるのと同時に、聖会のドアが吹き飛んだ。
「異法使い……? アレが?」
中から出てきたのは、見知ったトカゲの異法使いではなかった。
綺麗な、それでいて暴虐的な、紅い四枚羽。
甲虫のように、幾層にも重ねられた鎧のような肌。
尖った耳と、頭の耳上に突き出た捩じれ角。
紅い、狂気を宿した瞳。
天使のような、悪魔のような……、そんな姿だった。
「ドイツモコイツモ、シボリカスノヨウナ『ルミナス』シカモッテオラン。
……キサマハドウカナ?」
異形の異法使いは、そう呟くと、手に持った巨大な刃の鎌を、振り上げた。
その先には、怯えきったリリィが尻餅をついている。
「止めろぉぉおお!」
ロクシスは、素早くリリィと異法使いの間に滑り込み、木剣で鎌を抑えた。
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