2人が本棚に入れています
本棚に追加
しかし、異法使いは陽炎のようにブレて、木剣の太刀筋から姿を消した。
「ヨイノカ?
キサマノアイテハ、ワレデハナイゾ?」
突然、背後に現われた異法使いは、ロクシスの肩に手を回し、聖会の方を指差した。
「なっ……」
そこには、鎌に突かれたはずの、リリィが立っていた。
腹には、鎌の刃の跡があるが、血はもう流れてはいなかった。
「リリィ……、大丈夫、なのか?」
しかし、リリィは返事すらしない。
ただ虚ろな瞳で、こちらに目を向けているだけだ。
「リリィ? どうし……っ!」
次の瞬間、ロクシスは目を疑った。
リリィの白い肌は、ボロボロと崩れ落ち、爬虫類のような皮が顔を覗かせ、
瞳は、綺麗な碧眼から気味の悪い爬虫類特有のギョロリとした黄色に変化した。
それはまさに、見知ったトカゲの異法使いそのままであった。
「アノカトウシュゾクハ、スデニワレラトドウゾクトナッタ」
異法使いは、そう告げると耳障りな哄笑を撒き散らして、燃え上がる聖会の屋根へ飛んだ。
「同族だと?
まさか、リリィが異法使いに?
何だよそれ……。
テメェ! リリィに何をしやがった!?」
最初のコメントを投稿しよう!