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リリィの首を掴み、そのまま地面に押し倒す。
「ァァ……ガァ……ゥウ」
リリィの口から、苦しそうな呻きが漏れる。
咄嗟に、ロクシスは手を離した。
つい押し倒してしまっが、これはリリィなのだ。
どんなに姿が変わっても、リリィに変わりはないのだ。
首から手を離されたリリィは、逆にロクシスの首を掴んで、反対にロクシスを押し倒した。
「リ、リリ……ィ」
力の入ったリリィの手を離そうと、リリィの腕を掴んで引っ張るが、リリィの力も強く、腕は中々離れない。
「ゥッ……、か、ハ……」
意識が、次第に薄れていく。
──ポタッ……。
意識が遠のくロクシスの頬に、水が落ちてきた。
あの日の雨のように、冷たくはない。
意識が薄れているせいで、感覚がおかしくなっているのかもしれない。
しかし、その水は、確かに温かかった。
それは、リリィの瞳から流れる……、涙だった。
「ロクシィ……、殺して。
私を、殺して。お願い、私、ロクシィを殺したくないよ……」
「リリィ……?」
「お願い、ロクシィ……!」
リリィの瞳からは、涙が次々と溢れ、ロクシスの頬を濡らしていく。
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