2人が本棚に入れています
本棚に追加
「……っ、んなこと、俺だって出来るわけないだろ!
リリィを殺すなんて!」
「お願い、ロクシィ! もう時間がないの!
もうすぐ、私は意識もなくなるわ!
そしたらきっと、ロクシィを殺してしまう! ……そんなの、イヤなの」
リリィは、苦しそうに言葉を紡いだ。
リリィはもう、元には戻れない。
分かってる、分かってはいる。
だが、だからってそう簡単に割り切れるもんじゃない。
「お願い、ロクシィ。
私を人殺しにしないで。本当の化け物にしないで……お願い」
分かってる。
もう、リリィは元には戻らない。
それが、リリィの願いなら……。
「わかった」
ロクシスは、顔を苦痛に歪め、頷いた。
リリィの手から力が抜け、ロクシスは立ち上がった。
木剣を握る手に力を入れ、鋭くなっている剣先をリリィに向けた。
「さよなら……、リリィ……」
ロクシスは、リリィの胸に木剣を突き刺した。
「ありがとう……、ロクシィ──」
それが、リリィが出した、最後の声だった。
木剣で貫かれたリリィは、倒れ、灰になって消えてしまった。
「ウァァァァァァァァァアアアアアアアアア!!」
ロクシスは啼いた。
そして、そのまま気を失い、地面に倒れた。
──ありがとう、ロクシィ……。
私ね、ロクシィが……大好きです──
最初のコメントを投稿しよう!