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雨が降っていた。
ひどく冷たい雨だった。
まるで、氷の結晶が突き刺さるような凍て付く滴。
だが、その雨にも呑まれず、轟々と燃え盛る火焔が、立ち上がっていた。
焔に包まれたその場所は、小さな村だった。
しかし、村は焼け崩れ、酷い惨状を呈していた。
どうやら、すでに異法使いに襲われたあとらしい。
「ファティ隊長! 生存者です!」
ひとしきり村を見回った後、一人の若者が大声で叫んだ。
声の元へと向かうと、崩れた家屋の中に、小さな男の子がぽつんと座っているではないか。
ファティは、身を屈めて、男の子の頭に手を置いた。
「すまないな。我々がもっと早く来ていれば、君の家族を死なせずに済んだのだが……」
だが、男の子は何の反応も示さない。
まさか、異法の障気に当てられたのか?
異法は、聖法とは違い、使う時に大気中のマナを障気という有害な気体に変えてしまう。
まさしく、聖法とは異なる外法なのだ。
現に、男の子の周りには、酸で溶かされたように床が焼けている……。
障気の特徴の一つだ。
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