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「おっそうなのか!
そいつは悪かったな。
取りあえず弁当くれよ」
「んっもう、本当呆れちゃう。
はい、これお弁当。
明日ファティさんが来るからって、張り切って出てったのに、昼寝してるなんて……、ロクシィって本当、やる気あるんだかないんだか」
「やる気はあるさ。
何たって師匠が稽古つけに来てくれるのは、一年ぶりだからな」
ロクシスは立ち上がると、草の上に置いてあった木剣を取った。
「ねぇ、ロクシィ。
そんなにファティさんに稽古をつけてもらいたかったから、メスト聖法学院に入学すればいいじゃない」
「別に……、群れるのとか好きじゃないんだ」
ロクシスは、リリィから目を逸した。
メスト学院への入学を拒む理由は、本当は違うのだが、それは例えリリィにも言える内容ではなかった。
ファティ師匠との約束であったし、何より本当の理由を言って、リリィに拒絶されるのが怖いのだ。
そうしていると、リリィは再び覗き込んできた。
「そんなこと言って、本当は私と離れるのが寂しいとか?」
「何言ってんだ? いいから、もう帰れよ。
今からまた稽古すんだから」
「はいはい、頑張ってね。
未来の剣聖さん!」
シッシッと手で払うと、リリィはクスクス笑いながら、森の中へ消えていった。
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