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しばらく経って、焔が家を包み込み、トカゲたち──異法使いが、押し入ってきた。
ギョロリとした爬虫類特有の眼が、黄色い光を宿して、こちらを見つめてきた。
鋭く長い爪は、触るもの全てを裂いてしまいそうだ。
ブスブスと、異法使いの体から黒煙が上がる。
それこそが、障気。異法の証だ。
その黒煙が、ロクシスを包み込んでいく。
と、黒煙──障気はロクシスに感染することなく、消滅してしまった。
逆に、異法使いの両腕が腐食し、崩れ落ちて溶けてしまった。
醜い嗚咽を漏らして、異法使いは去り、ロクシスは気を失った。
そして、その後、救出にきた聖士隊、クロイツ隊隊長であるファティに助けられた。
そう、ロクシスは極めて異質な存在なのだ。
異法を浴びながら、感染せず、生き長らえている。
だからこそロクシスは、ヴァイス聖会で匿われているのだ。
学院のような人の目の多いところに行けば、秘密がバレてしまう危険がある。
異法の感染しない人間……、そんなことが知れれば、世の学者たちはこぞってロクシスを研究したがるだろう。
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