第一話 虚ろなる転

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しばらく経って、焔が家を包み込み、トカゲたち──異法使いが、押し入ってきた。 ギョロリとした爬虫類特有の眼が、黄色い光を宿して、こちらを見つめてきた。 鋭く長い爪は、触るもの全てを裂いてしまいそうだ。 ブスブスと、異法使いの体から黒煙が上がる。 それこそが、障気。異法の証だ。 その黒煙が、ロクシスを包み込んでいく。 と、黒煙──障気はロクシスに感染することなく、消滅してしまった。 逆に、異法使いの両腕が腐食し、崩れ落ちて溶けてしまった。 醜い嗚咽を漏らして、異法使いは去り、ロクシスは気を失った。 そして、その後、救出にきた聖士隊、クロイツ隊隊長であるファティに助けられた。 そう、ロクシスは極めて異質な存在なのだ。 異法を浴びながら、感染せず、生き長らえている。 だからこそロクシスは、ヴァイス聖会で匿われているのだ。 学院のような人の目の多いところに行けば、秘密がバレてしまう危険がある。 異法の感染しない人間……、そんなことが知れれば、世の学者たちはこぞってロクシスを研究したがるだろう。
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