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「何で!?何で章ちゃんに赤紙が来んの!?」
その何日か後
章大に赤紙がきたのだ。
今更…
今更章大に戦争に行けって‥?
ちょっとばかり身体が回復したからって…。
「そんな怒鳴らんで。取り敢えず座りぃ」
章大はまるで他人事のように私をなだめる。
「何でよ!何で章ちゃんが戦争に行かなアカンの!?」
「‥みんなお国のためやって‥嫌な人もそうやない人も戦争に駆り出されてるねんで‥?僕だけ逃れるなんて出来へんよ…」
「何がお国のためや!!そんなんただいい人ぶってるだけやんか!それこそ偽善者やん!」
「奈緒っ…」
「…っ…」
章大の急な大声に
私はびっくりして言葉を失ってしまった。
「そんなこと周りに聞かれたら、奈緒が白い目で見られるようになるやろ…」
「いいっ…そんなんどうでもいいもん‥!!」
章大と離ればなれになるよりずっとずっとマシや‥。
「‥僕だって戦争反対やで?出来れば世界中のみんなが仲良くなって‥平和に暮らせたらいいって思ってる」
「……」
「…大丈夫やから。僕は戻って来るよ。やから奈緒はここで…頑張って生き抜くねんで」
「…章ちゃんっ…」
涙を流す私に
章大はキスをした。
「…愛してんで、奈緒…」
「…私も…」
この日
私達はひとつになった。
泣いてばっかりで
行かないでって言う私を
章大はずっと抱き締めてくれていた。
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