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「私ね…空が好きなの。
小さい頃から、私の夢は空を飛ぶことだった。
ほら、私の名前、美しい羽って書くでしょ?
ほんとに羽があってこの空を飛べたら、どんなに素敵だろうって、いつも思ってた…。」
夢見心地に話す篠田先生。
(空よりも先生のほうが綺麗だ…なんて、言えないよな。)
「うん…綺麗だね…。」
「私ね、お店に入ると絶対に窓際の席に座るの。
自分ルールって感じかな。
昔から、ずっとなんだ~。」
そういや、最初この店に入って先生が席を指定したとき、なんで夜なのに窓際なんだって思ってたけど…そういうことか。
たった一週間ほど前のことなのに、随分と懐かしく感じられる。
それほどまでに、先生と過ごした時間は充実していて…
幸せだった。
「さ…今日はもう帰らないと…。」
「え…もう…?」
いつもより1時間も早くに篠田先生がそう言ったので、俺は思わず聞き返してしまった。
「うん…明日、朝礼でお別れの挨拶しなきゃいけないから…。」
寂しそうにそう言う篠田先生。
「そっか…じゃあ…俺とはもうお別れか…。
明日、頑張れよ!
泣くなよな!」
寂しさを必死で隠す俺。
泣きそうなのは俺のほうだ…。
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