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「うん…ありがとう。
短い間だったけど、榎木くんとおしゃべりできて楽しかった…。
なんか…無理やり付き合わせちゃって…
ごめんね…。」
「いや…俺も楽しかったから…ありがとう。」
ほんとはもっと他に言いたいことがあるのに…言葉にならない。
「榎木くん…今日さ…学校くる?」
「えっ…?」
正直、驚いた。
篠田先生が俺にそう言うのは、はじめてだったから。
「行かない…。」
「だよね…じゃあ、ここでもうお別れだね…。
元気で…仕事頑張ってね!
またいつか…って、そんなのないか…。
それじゃあ…行くね。バイバイ!」
「あ…あぁ…バイバイ。」
手を振って先生を見送る…
俺の馬鹿…。
またもや伝票を持ってレジに行ってしまった篠田先生。
最後ぐらいはかっこつけたくて、お金を払おうとレジに駆け寄る。
だが、レジの数歩手前で先生の顔が見えた瞬間、俺の足は止まってしまった。
あれは…涙…?
篠田先生の頬をつたう涙を、俺は見てしまった。
どうして…泣いてるの…?
そう尋ねる間もなく、篠田先生はそそくさとお金を支払い、店を出て行ってしまった。
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