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俺は、抱きしめられたことが嫌で泣いているのかと不安になりつつも、篠田先生を離すことができず、静かに抱きしめていた。
「うっ…っく…」
篠田先生はしだいに落ち着きを取り戻したようで、しばらくすすり泣く声が聞こえていたが、突然、口を開いた。
「一目惚れだったの…。」
「え…?」
「あの日…榎木くんと初めて話した日…仕事をしているあなたの姿を見て…
信じてもらえないかもしれないけど…私自身、びっくりしたんだけど…
あぁ、私、この人を好きになってしまったって、思ったの。」
一目惚れ…?
俺に…?
「でもね、しばらくあなたを眺めていて気付いちゃったの…
うちの…生徒だって…
一応全校生徒の顔、写真でだけど見たことあったし、それに榎木くん、集合写真じゃいつも右上の別枠に写ってたから…
覚えてた…。
うちの…生徒…つまり高校生。
先生と生徒が恋愛なんていいはずないし、それに、高校生が学校の先生なんて相手にするはずない…そう思ったわ。
一目惚れして、その数分後に失恋。
笑っちゃうわよね…。」
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