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「誠に申し上げにくいのですが…
30分ほど前に、篠田美羽さんが当病院に搬送されまして…
詳しい事情はまだ分かりませんが、篠田さんが歩道を歩いておられたところ、乗用車が急に歩道に乗り上げてきて、運悪く篠田さんがその車に跳ねられてしまったようで…
うちに運ばれた時には既に心配停止状態でして…
手を尽くしたのですが…先程、お亡くなりになられました。」
はい…?
車に跳ねられ…?
心配…停止…?
オナクナリニナラレマシタ…?
そこから先はよく覚えていない。
何と言って電話を切ったのか。
どうやって病院へ行ったのか…。
気付いた時には、俺は冷たくなった美羽の前で、泣き叫んでいた。
美羽の名を呼ぶ俺の声をかき消すかのような、激しい雨の音が聞こえていた。
まるで空までもが、美羽の死を悼んで泣いているかのようだった。
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