少女

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美羽が死んでから、俺は仕事に行く気にもなれず、ひたすらに部屋に引きこもっていた。 毎日決まって、美羽の携帯に電話をかけた。 最初のうちは、美羽が死んだことが信じられなくて…何事もなかったかのように、美羽が電話に出るんじゃないかと思って…。 美羽の死を自覚しだした頃からは、留守電の美羽の声が聞きたくて… 何度も何度も、電話をかけた。 馬鹿みたいだ… 美羽の携帯は…美羽の形見として俺が受け取り、机の引き出しに閉まってあるっていうのに…。 食事もほとんどとらなかった。 どうしてもお腹がすいたときは、冷凍庫からずいぶん前に買い込んだ冷凍食品をチンして食べた。 死んだように生きていた。
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