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警察の話によると、美羽を跳ねたのは76歳の老人だったそうだ。
雨で視界が悪かったため、ハンドル操作を誤ったのであろうとのことだが、はっきりとした事実はわからない。
なぜなら、運転していた老人のほうも死んでしまったから。
生きていたなら、美羽を殺したそいつを憎んで、それを生きる糧としてやっていけたかもしれない。
だけど、死んでしまったら、この怒りも憎しみも、ぶつけようがない。
行き場のない怒り。
やり場のない悲しみ。
なくしてしまった、俺の居場所…。
美羽が死んでから1ヶ月もたった頃からは、自分も死のうということしか、考えられなくなっていた。
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