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僕の身の丈ほどのフェンスは勿論問題なく乗り越えられた。
いよいよ、境界を越えてしまった。
下を見下ろすと昼間とはまた違う明るさを持つ街が見えた。
人工的な光は艶かしい色で人を誘う。
見続けるとつい酔ってしまいそうだ。
貰い酔い。あってたまるか。
そんなものがあったらアルコール業界が真っ青だ。
みんなの顔を染めるためにがんばってきたのに自分たちは青褪めるなんて。
僕は緊張感のなさに笑いすらこみ上げてきた。
結論として最期の表情は笑顔だった。
自分に対する嘲笑だけど。
無意識のうちに僕はダイブしていた。
グッバイこの世。
ハローあの世。
こうして僕は最期の最後まで締まらないネジのように緩みながら落ちて逝った。
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