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「ノーチラス号、応答せよ! ノーチラス号、応答せよ! こちらグレゴール。α2(アルファ・ツー)のユニティー本拠地破壊完了! 只今より帰還。しかし残った機は2機のみ。更に1機は機体の損傷が激しくノーチラス号までもつかどうか……」
『了解。こちらノーチラス号、サリー。レーダーで2機を確認。ノーチラス号もそちらに向かいます。予測合流地点はN28、E86付近、よろしくて?』
「了解!なんとか頑張ってみるよ、サリー」
2機のイカに似た形の戦闘機が黒い煙を吹き、今にも墜落しそうな速度で飛んでいる。
被弾の為に出来た無数の穴からは、煙やら何かの液体やらが噴き出ている。
上空2000メートル付近を飛行中だが山岳地帯の為、地上との距離がほんのわずかだ。
更に速度が落ちると墜落の可能性もある。
胴体に、パイプをくわえた人の横顔のシルエットが描かれた機体に乗るグレゴールは、母船ノーチラス号との交信中だった。
「タクマ、大丈夫か? しっかりしろ!」
グレゴールはもう1機のパイロットに無線で話しかける。
『だ、大丈夫だ。……ゲホッ、ゲホッ!』
「大丈夫じゃないだろー! 操縦をオートにしろ! 自動でノーチラス号まで連れてってくれる!」
もう1機、胴体に3匹の魚の絵が描かれている機体にのったタクマは、機体の損傷も酷いがパイロット、タクマ自身も瀕死状態だった。
『グ、グレゴール』
「なんだ?」
『た、たのみ、が、ある。……ゴホッ!』
タクマはヘルメットの中で吐血していた。
「なんだ?あまり喋るんじゃない!」
『……ノーチラス号に着いたら俺の身体をα6(アルファ・シックス)に転送してくれ』
タクマは意識を失う寸前だった。それでも何とかグレゴールへの頼みを伝えようと、必死で喋った。
「わかった。わかったからもう喋るんじゃない! それから高度をあげろ!墜落するぞ!」
『操縦は……ゲホッ! ……オートに、した。……後は、ま、か、せ、た……』
「タクマーーーーー!」
タクマは意識を無くし、ヘルメットの中でグレゴールの叫び声が響いていた。
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