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「はあ……はあ……!!」
森の中を十二歳くらいの金髪の少年が息を切らして走っている。その後ろには……。
「はあ……誰か、助けて!!」
「ガアァァ!!」
「ウウゥゥ!!」
なんと、狼のモンスター。『ヴォルク』の群れが追いかけてきていた。ヴォルクは普通の猛獣をも越える脚力を活かし、少年を飛び越して、前に回った。
「うわぁ!」
すぐさま、少年は別方向に走ろうとしたが……
「う、嘘……」
既に囲まれており、逃げることは不可能だった。少年は恐怖のあまり、腰が抜けてその場に座り込んでしまった。ヴォルクたちは少年に睨みをきかし……。
「グワァァ!!」
大きな口を開き、同時に少年に襲い掛かってきた!
(……!!)
涙でいっぱいになっている瞳をキュッと閉じる。そのとき……ガァンという、何かがぶつかったような音がした。それに気づいた少年は恐る恐る目を開けた。
「あっ……」
そこには、同い年くらいの薄い青髪の少年が木刀でヴァルクを受け止めている姿があった。
「ぐうぅぅぅ……でやあ!!」
少年はそのまま木刀を振りぬき、ヴァルグをはじき返した。そして、少年の手を取った
「逃げるよ!!」
「え? う、うん」
青髪の少年は金髪の少年の手を取り、ヴォルグの群れを掻い潜り、森を抜けていった。
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