プロローグ

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 無限に広がる宇宙。その大きさや形を正確に知る者はこの世に存在しないだろう。  ありとあらゆるものに対して無慈悲なまでに平等な漆黒の無限空間の片隅には惑星と呼ばれる生命の土台が数多く存在しており、その惑星に根付く生命は気の遠くなる年月を経た進化の果てに知的生命体と分類される存在を生み出すこととなった。  すなわち、ヒトである。  いつしかヒトは自らの土台となる母星という枠を越え、遠き隣人とでも言うべき異星のヒトへとの接触を始めていくが、価値観の異なるもの同士による急激な干渉は協調以上に対立を深める結果となり、後に宇宙を舞台にした武力衝突という悲劇を引き起こすきっかけともなってしまった。  この悲劇を回避するため、ヒトは最低限のルールとして過度な干渉を行わないことを基本方針とした枠組みを作り上げ、監視による抑制という手段のもとにこれを遵守することを心掛けた仕組みを形成するに至った。  これが”星間連合”と呼ばれる仕組みである。  この仕組みを維持するためにルール違反を取り締まる組織が必要であると考えるのは自然な行為であるが、それはどの惑星にも属さない中立な存在であることが必要不可欠である。  故にその組織は、どこの惑星にも属さずいかなる力にも屈することのない、独立した異質な存在としてこの宇宙に君臨することとなった。  人工惑星”エクセリオン”を拠点とし、全宇宙の生命を守護するというただ一つの目的を果たすためにのみ存在し続ける組織。  その名を、”勇者機兵隊”と呼んだ。
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