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座敷牢の唯一の窓から見える青空に感嘆の声をあげたら、翌日には窓辺に大きな木を植えられ空さえ拝めなくなった。
泣き叫べば、出してくれるかもしれないと思えば「うるさい!」と怒鳴られ冷たい水を浴びさせられた。
散々な思い出しかない。
椿は、くすりと笑い男達を見た。
その双眸は透き通るような青。
「いいわ。売られてあげる。」
葵は、つき離すように椿から手を離した。バランスを失った椿はそのまま前のりに倒れこんだ。
「大丈夫かい?」
雅彦が、慌て椿を起こした。
椿が、ぱちくりと目を見開いた。
聞きなれない心づかいの言葉に驚いたのだ。
「…大丈夫。」
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