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東海道2番目の宿場町川崎宿。
なんとか、夕暮れ時までに辿り着けた。
旅籠に宿をとり、部屋に入るやいなや芳明は倒れるように座り込んだ。
8畳の部屋に5人が座り込む。
「お嬢達には悪いが5人で雑魚寝だ。」
二人は、頷いた。
音羽は、あたりを見渡して
「これが旅籠なんですね」と、目を輝かせている。
芳明はすでに突っ伏して動きだす気配がない。
隆雄が、やれやれと立ち上がり
「譲葉ちゃん、下に行って飯膳をもらいに行こう。」
「はい」
旅籠によっては、晩飯と朝食がつく。
旅籠よりランク下の木賃宿になると自炊しなければならない。音羽がいるおかげか廣田が旅費をかなり奮発してくれている。
川崎宿名物と言えば奈良茶飯だ。
茶飯と煮物、豆腐汁がセットでついてくる。
茶飯は、塩を入れた茶の煎じ汁で炊いた飯に小豆がごろごろと混ざってある。これを豆腐汁とともに食べるとなんとも言えない。煮物もよく味が染みて美味い。
そして、茶飯はお変わりが自由だ。
「美味しいー。」
譲葉が茶飯を頬張って歓声をあげる。
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