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芳明は、観念したようにうなだれた。
「わかった。一緒に行こう。」
ぱあっと譲葉の顔が輝いた。
「ありがとう兄上!」
「姉様も、兄様も行くなら私も行きます!」
音羽も名乗りをあげた。
「ダメ。」
芳明は、首を横に振った。
「行きます。」
「ダメ。譲葉が言ってた通り京は、今物騒なんだよ。だから」
「兄様が斬られたら、手当しますから連れて行ってください!」
芳明は、自分は二人にとってそんなに頼りないのだろうかと頭を抱えてしまう。
「…音羽ちゃんのお父上が、許してはくれないよ。」
芳明は、切り札を出した。超親バカの薬種問屋の当主が目にいれても痛くないくらい可愛い一人娘を旅に出させるはずかない。
音羽は、押し黙って立ち上がった。
「じゃあ、お父様にお願いしてきます。そうしたら、一緒に連れってくれるんですね」
音羽は笑顔で、そう言って駆けて行った。
「音羽ちゃんと、3人旅かぁ。楽しそうだね兄上。」
「いや、まだそうと決まったわけじゃ…その前に観光じゃなくて仕事で行くんだからね。」
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