13.決断と揺れ

10/13
前へ
/267ページ
次へ
『…話って何?』 俺は少しも戸惑う事なく話を切り出した。 「…。」 『…俺、明日も仕事だし話がない  なら帰るよ?』 「優己は…まだゆずきちゃんの事  が忘れられない?」 『はぁ…  その事ならもう話す事はないと  思うよ?  真莉もわかってて俺と付き合い  始めたんだろ?  それを付き合い始めてすぐに責  められても…』 「じゃあ聞くけど…  真莉の事は好き?」 『…嫌いなら付き合わない。』 「…。」 『好きか嫌いかなら好きだよ?  でもそれは愛じゃないんだ。  正直、柚姫の事は一生涯忘れら  れないと思う。  でもそれは、俺が初めて誰かを  "愛しい"と"守りたい"と思った  からだと思うんだ。  柚姫と付き合い始めた頃は、俺  は柚姫を好きでもなかったし、  家事が出来ない俺からしたら世  話をしてくれる女ってしか見て  なかったし。  お互い好きでもなんでもなかっ  たんだよ。  柚姫は違う男を引き摺ってたし  ね?  ただ俺達はお互いの弱い所を埋  める為に一緒にいて、流れで付  き合い始めたんだ。  一緒にいるうちに好きになって  一緒にいるうちに愛してしまっ  たんだよ。』
/267ページ

最初のコメントを投稿しよう!

167人が本棚に入れています
本棚に追加