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そうこうしている内に、猫たちは話がまとまったようで一匹、また一匹とこちらを見つめては塀を登ってそのまま消え、屋根まで上っては消えていった。
そうして、最後にあの黒猫だけが空き地に残されてはこちらを見つめていたのである。
さて、どうするべきかと思いを巡らせると、黒猫がおもむろにこちらへ近寄ってきた。
不用意に動くべきではないが、その黒猫がとてつもなく不気味で大きく見えたので、思わず禹逃げ出しそうに身体が僅かに揺れ動いてしまった。
猫の一匹に怯えてしまっては面目も潰れてしまうと勝手ながらも思い、きっと黒いから闇夜に紛れて大きく見えるからだと言い聞かせていた。
黒猫は目の前まで来るとこちらの事などまるで存在すらしていないかのように、一瞥もせずにそのまま、左手に進路をとって路地の闇に消えてしまった。
暫くの間は呆けてしまったのだが、本来の目的を思い出して、足腰についている砂利などを手で払い落とすと進路を右手にとって路地を歩み始める。
一体、何についての集会だったのかは解らないが、きっと答えは出たのだろう。
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