失われる未来と等身大の少女

プロローグ

そして、この町の一番の印象。

そうだ、お祭りなのだ。大抵有名な町や都道府県は、大きなお祭りがある。

ここもその中のひとつで、大きなお祭りがある。

毎年毎年冬になると町中が笛の音で埋め尽くされる。

それも、ただの笛ではない。
しいて言えば大きなオカリナだ。
60センチくらいあるオカリナで粘土で作られている。
オカリナより大きい音が出るのも特徴だし、なんと言っても音色がいい。
それが町いっぱいに広がるのだ。
その大きいオカリナの名前を「音渡り」と言う。
この音渡りが最初に作られたと言うことで、この町の名前は初音町になったのだ。

こんなことを必ず小学生のうちに聞かされる。

いわば伝統行事かな。
そしてどこの国にも、都道府県にもわたらずに、今もこの町だけに受け継がれている。