死せる義人ロト

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「これは失礼。いかんせん天使なもので、人間の生理現象やら心理やらはなかなか理解が難しくてね」と言ったミカエルも、エンデの前に姿を現してからすでに1年半程人間界に落ち着いている。  エンデもそのことを知っているので、弁解にもなっていないミカエルの言葉を、頭から無視してしゃべり続けた。 「その働きってのは、例の預言者としての仕事かよ。仕事が他にもあるなんてきいてねーぞ。天使ってのは詐欺師も兼ねてんのか?」 「失礼千万だな。まあ慣れっこだがね。他にもあるかって? では一つだけなんて私は何時言ったかね? こんな問答は今回は後回しにしてもよいかい? さっきも言ったように 今回も切迫しているのだよ」  そう言ったミカエルの口調は、あまり切迫しているようには感じられなかった。
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