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昔、義人ロトは罪を犯した。
内容はかなり卑猥な感じの罪だが、彼はその罪をどのようにあがなえばよいか考え続けていた。
ある時、悩み疲れたロトの前に、一冊の本が天より舞い降りてきた。
それはかつて義人エノクが所持していた『天使ラジエルの書』であった。
その本にはこの世のあらゆる知識がつまっていて、エノクはこの本により、世界で一番賢い人間となり、死ぬ事なく天に召されたと言い伝えられていた。
ロトはこの本から、贖罪のヒントを得ようとページを捲った。
それが間違いだった。
『天使ラジエルの書』の中に書かれている知識は、余りに膨大であり、そこには神のみぞ知る真理が記されていた。
ロトは、いや、ロトの魂は、その真理の重さに耐え切れず、押しつぶされ、狂気の中に迷い込んでしまった。
その瞬間に彼の存在は、神からも、ウリエルからも、メタトロンからも、捕らえることができなくなった。
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