預言者エンデの受難

死せる義人ロト

　自我を無くしたロトは、偶然ベルゼバブに見出され、地獄の永久凍土に捕らえられた。

　そこでロトは、死んでいるのか生きているのか分からない、非常に曖昧な状態のまま、マンモスの氷漬けのように、５千年という時を超えた。

　どのようにして彼が地獄から出られたのか分からないが、それは地獄の連中にとっても事件であったようだ。

　と、これがラファエルがモジャモジャ頭を掻きながら話してくれた内容だった。

　ちなみに、ロトの読んだ『天使ラジエルの書』は、天使メタトロンが天界から、誤って落としたものだったが、賢明なラファエルはその事には一切触れなかった。