預言者エンデの受難

死せる義人ロト

　この話の後で、ミカエルは心底うんざりする事を言った。

「ベルゼバブの卵から羽化した蝿が蔓延すれば、それは即ち『疫病の蔓延』って事になる。もうその前兆は出てるだろう？　新しい感染症だの、耐性菌だのさ。ロトが地上をうろつけば、それだけ疫病が広がる確立は高くなる。人類の危機ってやつだ。肝心のロト自身は、狂ってしまっているせいか、天使の呼びかけにも応えない。どうも天使の姿も見えないようだ。だから君だよ、エンデ君。彼は人間の姿なら見えるらしいからね。なんとかロトの魂を説得して、可能な限り早く死ぬようにしてくれたまえ」

「狂ってるやつをどうやって説得するんだよ。しかも『死ね』って言って死ぬやついると思うか？」

　投げやりに聞いたエンデに対し、ミカエルが言うには、

「狂人もアホもたいして違いやしないんだから」との事だった。