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「急ぐぞ、お馬鹿さん!」
そう叫んでミカエルはエンデを急がせた。
エンデも事態のただならぬ事を感じて、文句も言わず天使の後ろを、胸元のテミスを気遣いながら小走りでついていった。
そしてこのような火急の際だが、自然に人を馬鹿にできる才能が、この天使にはあるのだと考えながら、エンデは尋ねた。
「天使が人の死を驚くのか?」
ミカエルは振り向きもせず、おそらくは口も開かず、エンデの脳髄に直接天使の思考を投射した。
「人の寿命はある程度決められているんだよ。だがね、たまに予定外の死が人間を襲う事がある。そりゃあ昔はよくあったのだけどね、悪魔のはかりごととか、神の気まぐれとか。今回の死もそうさ。全くの予定外。だけどこんな事は5百年ぶりだよ」
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