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エルモは咄嗟に内線で休憩室にいた警備員を呼び出し、簡単に状況を説明すると、すぐに別室に駆けつけるように指示した。
それと同時に、自分の携帯電話でマネージャーに連絡し「その場で待機しつつ、必要と判断したなら救急要請をせよ」との指示を受けた。
救急が必要かって?
エルモは倒れる前の警備員の顔を思い返した。
一瞬で体中の血を、全て抜き取られたかのように白くなり、その瞬間にたくましい肉体から魂だけが抜き取られたかのような倒れ方をした。
必要だ!
間違いない!
エルモが電話に手をかけたその時、モニター内に休憩中だった警備員が、AED(自動体外式除細動器)を片手に駆け込んできた。
警備員はすぐに同僚の体に近づき、隣で呆けている浮浪者を完全に無視し、手際よく心臓マッサージを始めた。
その映像を見ながら、エルモは救急要請を行った。
しかしエルモは、マニュアル通りの受け答えが出来なかった。
何故なら・・・・、心臓マッサージをしていた警備員が、同僚の上に覆いかぶさるように倒れたからだった。
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