聖なる者達

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 何が起こっているんだ?  混乱する思考の中で、エルモはその瞬間まで、浮浪者の存在を忘れていたことに気付いた。  ふと見ると、浮浪者は何かを口ずさんでいるようだった。  そして浮浪者はノロノロと立ち上がると、倒れている二人を全く無視して、静かに別室を出て行ってしまった。  呆然とスクリーンを見つめるエルモの耳元で、受話器越しに不思議な声が聞えた。 「眠れる者、聖なる者よ、その身を燃やして、徴(しるし)を示せ、而して、己が運命に目覚めよ」
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