預言者の憂鬱

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預言者の憂鬱

 次の日、エンデは机の上に突っ伏して、天国のような時間を過ごしていた。  冷房の効いた部屋で汗もかかずに、シャツはいつもより心持ち清潔で、目の下のクマはうっすらと薄くなっている。  部屋はミカエルが消えたあとで、一回くしゃみをしたら元に戻っていた。  彼は昨日の奇跡のすぐ後から、そのままひたすら眠り続け、昼過ぎにようやく起きたのだ。  チャイムが鳴り来客が訪れてもエンデは無視し続けた。  しかしチャイムはエンデが居ることを分っているかのように、ひたすらなり続けた。  エンデにとってはたちの悪い嫌がらせとしか思えなかった。  仕方なしに立ち上がり、不機嫌な顔でドアを開けると、高価そうなスーツを着て、右手にステッキを持った紳士らしき男が立っていた。 「眠れる者よ、いつまで眠っているのだね?」  そう言って男はエンデの手首をつかみ、外に連れ出した。
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