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「次ーっ」
「は、はい、お願いします…やあぁぁぁぁーっ」
カンカン カンカン
バシッ
「参りました」
「次ーっ」
「華恋、少しは手加減をしてやれ」
華恋「あら、叔父様、私はこれでも手加減してます」
そう言って倒れている男を冷たい視線で見ている
この少女は吉田華恋
吉田剣術道場の師範 吉田勝見の姪である
15年前
両親を火事で亡くし江戸から叔父のいる京都で暮らしている
大人しくしていれば誰もが振り向くほどの容姿だが、幼き頃より叔父に剣術を学んで来たせいか気が強い
午前の稽古を終えて華恋は弟子たちの食事の準備に取り掛かる
「俺も手伝おう」
華恋「大丈夫ですよ。斎藤さんはあちらでゆっくりしていて下さい」
華恋は手際よく昼餉の準備をしていった
先程、手伝いを申し出たのは叔父の古くからの友人のご子息、半年程前にうちの道場に修行に来た人だ。
余り口を開く事はないが、私が忙しい時には何も言わず率先して手伝いをしてくれる
多分、人付き合いが苦手なのだろう
だが、剣の腕は叔父にも劣らず凄い
半年の間に師範代を任されるほどの実力だ
残念な事に彼は私との稽古を頑なに拒んでいるので手合わせをしてくれない
そんなある日、土方さんという人が斎藤さんを尋ねて来た。
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