第六幕

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翌日、女中の仕事を済ませ、自室に戻り外出用の着物に着替え町へと出た。 今日は、一番隊、三番隊、総司さんと斎藤さんの隊も一緒だ。 刀を選んでいる間は市中を巡回 たぶん、昨日のように襲われた時の対策だろう 刀も無事に選び終え 斎藤さん達が市中巡回が終わるまでの間、私達は京の町を歩いていた 華恋「土方さん、そこの甘味処に寄っていいですか、総司さんに頼まれたので」 土方「総司の奴」 ブツブツと言いながらも甘味処に寄ってくれた。 甘味も買い終え、一軒のお店に立ち寄る そこで簪を選ぶ 土方「何かいいのあったか」 華恋「はい」 桜色の淡い色の簪を彼に見せる 土方「お前に似合いそうだな」 そういうと彼は私の手から簪を奪い取るとそのまま勘定を払うため家主のところへと向かって行った。 華恋「土方さん、自分で買います。この前もお着物買っていただいたばかりです」 土方「俺が買ってやりたいんだ」 ドクンッ 心の臓が高鳴る 華恋「ありがとうございます」 再び、町を歩いて行くと 「土方はん」 突然、背後から声が聞こえた 後ろを振り返ると綺麗な女の人がいた 土方「君菊」 土方さんが名前を言うと彼女は嬉しそうに彼に近づき何やら話をしている。 島原の遊女か花街かどこかの舞妓みたいだ 醜い物が私の中に渦巻くのが解った。彼に知られたくない そっと彼から離れ近くの店へと入った 暫く店の物を見ていると 土方「此処に居たのか、勝手に離れるな」 息を切らした土方さんが現れた 華恋「すみません」 それだけ言うと私は店を出た。 店を出ると巡回を済ませた斎藤さん達が立っていた。 昨日の今日だからなのか吉田稔麿が私の前に現れることはなく無事に屯所へと帰ってきた。
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