第六幕

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屯所へ戻り、土方さん達にお礼を言いそのまま夕餉の準備をするために台所へと向かった 台所へ行く途中 新見「おい」 華恋「はい、新見さんどうかされましたか」 新見「芹沢さんの部屋に酒を持ってこい」 華恋「解りました」 芹沢一派の新見錦だった。 台所へ行き、お酒と朝、仕込んでおいた煮物を器に盛りつけ芹沢さんの部屋へと向かった 華恋「失礼します。お酒をお持ちしました」 新見「入れ」 中では芹沢さん、お梅さん、新見さんなど芹沢一派の方が酒を飲んでいた お酒を置き部屋から出て行こうとすると 腕を掴まれる 新見「華恋、酌をしろ」 夕餉の準備があるためすぐにでもその場を去りたかったが、彼らを怒らせると後々面倒だ 置いた酒を手に取り お酌をした 新見は酒を一気に飲み干し、猪口を私の前に差し出した。 再び注ぐと今度は 新見「お前も飲め」 華恋「申し訳ありません。私は今から夕餉の準備がありますので」 そう言って立ち上がると カチッと音が聞こえ 手を強く掴まれそのまま引き寄せられ、刀を喉元に突き付けられる ツーッ 首から血が流れるのが解った 新見「女中の分際で俺の言う事が聞けない・・・の」 新見さんはある一点をジッと見ている 新見「お前、誰の女だ。土方か近藤か」 ああ、彼の付けた跡が刀を突き付けられた事で見えてるんだと思った 華恋「・・・・・・」 新見「まあ、誰の女でも良い、今から俺の相手をしろ」 そう言うと私の腕を引っ張り隣の部屋へ連れて行こうとする 華恋「新見さん、離してください。貴方のお相手は出来ません」 再び刀を突き付けられる。 芹沢「新見やめんか、華恋は芸子や舞妓ではないぞ、離してやれ、見っともない事をするな酒が不味くなる」 芹沢さんの一言で新見さんは私の手を離した お梅「新見さん、女子に傷つけたらあきませんよ。華恋ちゃん大丈夫?」 華恋「芹沢さん、お梅さんありがとうございます。これくらい大丈夫です。では、失礼します」 部屋を出てそのまま井戸へと向かい手拭いを水に濡らし傷口に当てた。 深い傷ではないが流れた血で着物が赤く染まっていた 華恋「着替えないと」
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