第四幕

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先の事が解るといっても起こる日にち等具体的な事は解らない 今日起こるのか明日起こるのか解らない でも、叔父様のあの道場を失くすわけにはいかない 叔父様が本当の叔父でなかったとしても私にとっては大切な人 此処を抜け出して道場に行かなきゃ でも、今は外にたくさんの隊士達がいる。 土方さんも屯所内にいるはず、夜になったら島原に出かけるかもしれない 抜け出せるとしたらその時しかない それまでは、少しでも体力回復するために休もう 私は目を閉じ眠りについた 再び目を開けると、そこには土方さんが居た 手が温かい 握られている 土方「少しは落ち着いたか」 華恋「土方さん・・・・」 身体を起こそうとすると土方さんが支えてくれた 土方「なわけねえよな、この俺でさえまだ信じられん」 そう言うと私をそっと引き寄せ抱き締める ビクッ 土方「華恋、何も心配しなくていい。お前にどんな力があろうとお前はお前だ」 そっと顔を上げ土方さんの表情を見る 嘘は言ってない 本気でそう思ってくれてるのが解った 華恋「土方さん・・・・」 抱き締める力が強くなる 土方「すまなかった」 華恋「えっ・・・」 土方「俺がずっと屯所あけたせいでお前はずっと寝る事が出来なかった」 華恋「えっ、それは違います。私が弱かったから」 土方「それは違え」 華恋「とにかく土方さんのせいではありません。だから謝らないで下さい。もう、私は大丈夫ですから、だから、もう、職務に戻ってください」 土方「お前が心配する必要なんぞねえよ。隊務は此処でも出来るからな」 華恋「今日は出掛けなくていいんですか」 土方「ああ」 出掛けない ということは、抜け出すことが不可能になってくる どうしよう 叔父様の道場に何も起こらないことを祈るしかなかった
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