第四幕

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あれから数日が経ったが土方さんは昼夜、出かけることはなく傍に居る 私が予知したことは十日間の間に現実となっている あれから五日 稽古を終えた土方さんが部屋に入ってきた 土方「顔色悪いな、傷が痛むのか、ここんとこ食事もあまり摂ってねえよな」 華恋「いえ、大丈夫です」 開いただけの状態の書物から視線を上げ土方さんを見る 土方さんが私をジッと見ている 華恋「土方さん」 土方「お前、何か隠してるな」 ドキッ 華恋「何を言ってるんですか」 土方「何か隠してるだろ、吐け」 土方さんの顔が近づいてきて布団へと倒される 華恋「ひ、土方さん」 土方「俺の質問に答えろ、何を隠している。何を見た」 言ってもいいのだろうか 言ったら迷惑がかかる 華恋「何も隠してない、見てない」 そんな嘘は通用することなんてない 土方さんが私に覆いかぶさるそして チクッ 華恋「ひ、土方さん、やめて下さい。戯れなら島原のあの女の人としたらいいじゃないですか・・・・あっ」 と叫んだ瞬間、しまったと思った 土方「お前・・・」 起き上がり自室へ戻ろうとするが腕を掴まれる 土方「そんなことまで、見えるのか」 華恋「ごめんなさい。やはり私は此処に居ることは出来ないですね。」 掴まれた腕を振り払い自室へと逃げ込む 土方さんが入ってこない事を確認して、私は必要なものだけ風呂敷に入れ部屋を出た 今頃は皆、食事をしている頃だ 門の所までは何とか行けるだろう だが、屯所の門の所には見張り番がいるそこを抜けないと外には出れない 見つからずに出ることは不可能だ ならば、私は傷口にそっと手を当てる 傷の痛みがなくなるのを確認して見張り番から見えない死角の屋根に飛び乗る 人が居ないことを確認して飛び降りた 華恋「何とか成功した。」 道場に行く一番の近道は門を横切らないとならない 少し遠回りになるが別の道から行くしかない 私は、道場までの道のりを走った。 気配を感じる でも、今はそれに構ってる暇はない きっと、私に危害を加えることはない あの人の魂胆が解った やられた でも、今はそんなことはどうでもいい 道場まであと少し お願い間に合って・・・ 「ハァ、ハァ、ハァ」 道場にたどり着いた。まだ、大丈夫のようだ
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