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遅かった
気配が近い
華恋「土方さん、すみません。遅かったみたいです。」
土方「そうか、仕方ない。あとどれくらいで来るか解るか」
華恋「すぐ近くまで来ています。今出ていけば鉢合わせは間違いないです」
土方「行くぞ、此処にとどまっている方が危険だ。」
華恋「あ、土方さん、着いて来て下さい」
叔父様が自分に何かあったときにこの道を使えと抜け道を教えてくれたことを思い出した。
その時は何を言ってるのかわからず空返事をしていたが、叔父様はいつか自分が襲われることを知っていたのだろう
自分の部屋の襖を開け一番奥を押すと人一人が通れる道があった
土方「隠し扉」
華恋「叔父様が何かあったときは此処から逃げろと」
土方「そうか、奴らが来たな。」
複数の気配を感じる
土方「俺が先に行く。」
土方さんがそう言って先に中に入って行った
真っ暗だ
中に入り扉が閉まると
灯りが灯る
さすが、土方さん、私のあの一言で私のへやにあった蝋燭を持って来ていたのだ
土方「急ぐぞ」
華恋「はい」
私は土方さんの後に続き前を進んでいく
抜け道は私が叔父様たちの目を盗んで稽古していた神社の祠近くの洞窟へと繋がっていた。
土方「此処なら見つかることはないだろう」
華恋「・・・・・」
土方「心配するな、丞に、隊士を此処に向かわせるように伝えてある」
華恋「いつの間に」
土方「とにかく、戻るぞ」
華恋「はい」
歩き出そうと立ち上がると腕を掴まれ抱き抱えられた
華恋「土方さん」
土方「お前、顔色悪い、傷は治せても体力は元には戻ってないんだろ」
張っていた気が抜けたのか確かに体がだるい
大人しく土方さんに身を任せた
土方「行くぞ」
そう言って土方さんは屯所へと歩き出した
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