第五幕

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ガサッ 浪人風の男たちが5.6人、茂みから現れ行く手を阻む 背後からの気配も同じくらいの人数 多い それに・・・・まだ茂みの中に数人隠れている 私は短刀を握り締めるが土方さんがその手を下におろした。 土方「お前は手を出すな。」 しかし、さっきと状況が少し違う 相手の目的が私だけなら私の身は安全だ。間違っても殺されることはないだろう でも、相手の目的は私だけではないようだ。 背後からの奴らには殺気は感じられない でも、茂みから現れた奴らは殺気が伝わってくる 華恋「でも、土方さん」 土方「大丈夫だ。もう、お前に人を斬らせたりしねえ」 土方さんの心遣いは嬉しい 私だって出来れば斬りたくなんかない でも、もっと嫌なのは足手まといになること 「あら、先客ですか」 背後から声が聞こえる。聞き覚えのある声 黒い影の人物と同じだ 「華恋、会いに来ましたよ」 一気に土方さんの眉間に皺が寄る 土方「華恋、俺の後ろから離れるな」 そう言うと土方さんは刀を抜き、相手に突っ込んでいく 早い この前見た時よりも早い あっという間に3人を斬り伏せた 「チッ、幕府の狗があああ」 茂みの中から私目掛けて刀が振りかざされる その光景を私はジッと見ていた 怖くない ザシュッ 「うわああ」 刀は私に届くことなく男は倒れた 斬ったのは黒い影の男 そう、私は黒い影の男が浪人を斬るのを予知で見ていたから それにしても人数が多すぎる やはり、私が足手まといだ 繋いでいた土方さんの手を放す そして、斬られて横たわっている男の手から刀を奪い取る 土方「華恋・・・」 華恋「土方さん、話は後です。後ろは私が」 土方「チッ、解った」 ザシュッ ザンッ 今度は迷いなんてなかった
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