532人が本棚に入れています
本棚に追加
目が覚めると彼の腕の中に居た
そっと顔を上げると
彼の綺麗な寝顔が見える
いつの間にこんなに彼の事を好きななったんだろう
彼の胸の中に顔を埋め
「ずっと傍に居たい。離れて行かないで」
抱かれた腕に力が入れられ抱き締められた
言葉を紡ぐことはなかったけどきっとこれが彼の答え
そのまま、再び眠りにつき朝を迎えた
華恋「んっ・・・」
土方「目覚めたか」
華恋「はい」
身体を起こし立ち上がろうとすると
華恋「いたっ」
腰が重くて痛い
土方「悪いな、手加減してやれなかった」
首を横に振り
土方「今日は、一日動けねえだろう。此処で仕事しろ」
彼の言う通り昼過ぎまで起き上がる事が出来なかった
彼は朝餉が終わるとそのままどこかへ出掛けたのか部屋に戻ってこなかった
昨日の刀の件、きちんと考えてくれるかな
昨日、彼に言った事は本心だった。あの黒い影の男に連れ去られたらきっと正常な状態では戻って来れないと思ったからだ。
起きれるようになった私は動きやすい着物に着替え鏡の前に座る
昨日、付けられた赤い華が首筋の数か所に見える
このままじゃ皆の前には出れないな
自室に戻り箪笥から着物に合う布を取り出し首に巻いた
土方さんの仕事も終わり、体のだるさも朝よりはましになった為夕餉の準備をしようと部屋を出たところで彼が戻ってきた
土方「もういいのか」
華恋「はい、お陰様で」
少し嫌味っぽく言うと、彼は私の首を見て口角をあげた
華恋「何が可笑しいんですか」
土方「いや」
華恋「夕餉の準備してきますね」
土方「ああ、華恋、明日、町へ行く」
華恋「町ですか」
土方「ああ、昨日の件、近藤さんと話し合った。明日、お前に合った刀を買いに行く」
華恋「ありがとうございます」
土方「ああ」
最初のコメントを投稿しよう!