第二幕

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「お離しください」 「いいではないか、少し俺達の相手をしろっ」 酔った侍が女性に絡んでいるのが見えた そして、その女性に必死にしがみつき泣いている子供の姿も見える 「母上ーっ」 「ええい、煩い子供だ」 バンッ 母親から子供を引き離し力任せに振り払った 母親は子供の名前を呼び駆け寄ろうとするが男は腕を掴み何処かへ連れていこうとしている。 落ちていた石を拾い男に投げた 「痛ーーっ、誰だ」 私は、前に出て男を睨み付ける 「石を投げたのはお前か」 華恋「その人、嫌がってるでしょう。離しなさい」 「綺麗な顔して粋のいい女だな…お前でもいいや、俺達の相手をしろ」 華恋「どうして私が…貴殿方は武士でしょう。こんな事して恥ずかしいと思わないの。恥を知りなさい」 「この女ーっ」 男が刀を抜き振り上げる 周りからは悲鳴があがるが誰一人私を助けようとする者はいない だが、そんな事は初めから解っている 皆、我が身が大切だから… 浪人の刀が私目掛けて振りかざされる 私の目には浪人の動きが手に取るように解る 華恋「遅いーっ」 浪人の刀を避け、一瞬の隙に浪人の腰に差してある鞘を抜き突きを放ったドォーン 浪人は吹き飛ばされる それを見た仲間の浪人が私目掛けて刀を振り上げた 華恋「二人一緒はマズイかも」 刀をギリギリの所で刀を交わすが追い詰められていく 「へへへっ、行き止まりだ。」 両側から挟む形で、二人同時に刀が振りかざされる。避けられない、目を瞑り覚悟を決めた

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