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「その‥僕の雰囲気ってどんなものなのかよく分からないから。ただ、上原さんが苦手だというのは、なんとなく分かるよ。」
苦手じゃない、怖いんだ。
この男に癒される自分が。
「‥悪くない。」
それだけをやっとで言う。
「お前が悪いんじゃない。」
「う‥うん?」
「どういう事かって言うと‥だな。」
体を田端の方に向け、顔を覗いた。
瞬間的な衝動に駆られる。
少し赤くなった頬に、濡れた赤い唇。
うそ‥だろ?
潤った瞳。
きれいだ‥
それ以外の言葉が浮かばない。
我慢も限界だった。
バーテンダーがいない隙は今しかない。
田端の腕を無理矢理引っ張った。
「な‥なに?」
椅子から落ちそうになるのを支えながら、触れるか触れないかの軽いキスをした。
「なっ‥‥!」
放心している田端。
当然だろう。
俺にだって、よく分からない。
分からないが、こうするしかない。
「苦手なんじゃない‥怖いんだ。」
男のくせに。
男であるお前に、持ってかれるこの心臓が。
めちゃくちゃに怖い。
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