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「あんま飲み過ぎんなよ?」
「はぁ~い。」
「あっちで君を待ってるって。」
俺は元いたテーブルを指差し、さっきのバイトに合図した。
待ってましたと女の子に手招きしていた。
「じゃ、ちょっと行ってきます。」
「おう。」
あのバイトがこの子を狙っている事なんて知っていた。
「へぇ、知らなかったな。」
田端悠人が言う。
「そうか?大体の奴が知ってたぞ。」
「本当?」
少しだけ頬が赤い。
こいつはどれくらい飲めるのだろうか。
「田端さん、強いの?」
「僕?あんまり、普通かな。」
自分のことを『僕』と言う奴は正直苦手タイプだ。
お坊っちゃんみたいな、大事に大事に育てられたのがありありと見える。
いかにも清潔な感じが。
でも、こいつにはそれが似合っている。
俺と田端悠人だけになったテーブル。
飲むペースが上がった。
きっと、俺は緊張している。
それがどうしてかも俺は知っている。
「田端さんみたいな男って、実は俺結構苦手なんだよな。」
はっきりと目を見て言った。
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