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「そう?」
にこり、というより、俺にはにやりと笑ったように見えた。
「どこが?」
「どこがっつうか、雰囲気かな。」
「僕もですよ。」
あっさりそう言った田端悠人を見返す。
「やっぱり?」
そうだろうと思っていた。
「上原さんみたいな俺様キャラ、僕は苦手です。」
今度は本当に微笑んだ。
ドキンとした心臓。
なんだかよくわからない。
酒のせいか?
いや、さっきまでこんな気分じゃなかった。
実際いつもに比べたら大して飲んでなんていない。
「そうか。」
「でも、あなたが優秀な人であることは間違いなく知っていますよ。人気の講師だし。」
「生徒人気は薄いよ。」
「ええ、僕が言っているのはお母様方人気の方です。」
声を上げて笑い出した。
「そうなんだよ、人妻がすげぇんだよ。」
冗談抜きで、時々行われる生徒の親との面談が正直怖い。
人妻は悪くない。
面倒なことが一切無いからだ。
でも、そういうことにも飽きているのも事実だった。
今の仕事だって別に続けてる理由も特に無い。
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