148人が本棚に入れています
本棚に追加
『先生』と、一度子どもに呼ばれてみたかった。
それだけの理由だった。
意外と面白いからだらだら居着いてしまっているだけだ。
「上原さん。」
「なに?」
「グラス、空ですよ。」
すっと、俺のグラスを取り店員にウーロンハイを注文していた。
いつの間に俺の飲んでるものをチェックしたのか‥
少しだけ触れた手。
濡れたグラスと指の隙間に田端悠人の体温が入ってきた気がした。
まただ。
ドキンと心臓が脈打つのがわかる。
一体俺はどうしたんだ?
「なぁ、」
「はい?」
「次、行かね?」
この気持ちの正体を知りたい。
実を言うと、こうなるのは初めてではないのだ。
飲んでるから、という言い訳が自分で出来ないのは、素面の時にもこの感覚を味わったことがあるからだ。
いつだったか、残業をしていた夜の事だ。
ちらほらと数えるぐらいしか人が残っていない日で、そこに田端の姿もあった。
気付くともう十二時を回りそうだ。
椅子の上で伸びをして大あくびをした時だった。
「どうぞ。」
自動販売機のホットコーヒーが机に置かれた。
.
最初のコメントを投稿しよう!