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「あぁ、いいのか?時間とか。」
「別に、構いませんけど。」
一次会がお開きになり、二次会へと流れていく奴等から隠れるように二人で抜けてきた。
昔、大学時代はよく女の子とやったことだ。
近くにバーがあることをなんとなく覚えていた。
お洒落で静かで、田端には似合うだろうと思った。
「良かったのか?二次会。」
「別に、行きたかったわけじゃないから。」
「ふぅん。」
まだまだ、雨は強い。
「すげーな。」
「うん。台風みたい。」
「すぐそこだから。」
「大丈夫ですよ。」
少しだけ笑っているのが分かる。
なんだ?と顔を覗いた。
「上原さんて意外と気使い、なんですね。」
「え、まぁ‥」
雨の中を早足で歩く。
十階建てビルの最上階。
エレベーターに乗り、十のパネルを押す。
「濡れた?」
「大丈夫です。」
個室に二人という状況に、また心臓が変だ。
普段、男友達と二人でいるときにこんな風にはならない。
気を使うなんてこともあまり無い。
俺は気付いている。
まるで女性を扱うような、この空気に。
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