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苦笑に笑顔で応えようとした瞬間、いきなり体を後ろへ引かれる。
気が付くと総司の腕に包まれており、出入口付近には畳へ突っ伏す勝之進がいた。
「危なかったね。
僕がもうちょっと遅かったらあぁなってたよ。」
人差し指が向く先へゆっくり従うと、先程まで笑っていた顔は俯いていて確認出来ない。
挙げ句の果てに全身から水滴が落ち、そこだけ時が止まった様に銀之助は静かな空気を纏う。
言い知れない恐怖が美緒を捉え、思わず総司に寄り添って着物を掴んだ。
とうに起き上がれる筈の勝之進も、体勢は変えず頭を抱えて小刻みに震えている。
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