第0章『プロローグ』

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まず、西暦20XX年、人類は地上を捨てて天空に建造された空中都市に移り住みました。 もちろん、捨てたくて捨てたわけじゃありません。 そりゃあ、環境問題とか、その当時は取り沙汰されていましたけれど、それでもまだ母なる大地が与えてくれる恩恵の方が大きかったですから。 でも、それが在る日、一変したんです。 ファントムエッジと呼ばれる存在の出現によって―― ファントムエッジというのは、怪物の名前です…それも、人間が姿を変えた… ある日、突然に、それまで普通に生きていた人が怪物に姿を変えました、それがファントムエッジの始まり。 最初の一件を皮切りに、数日と経たない内に世界中でファントムエッジ出現が相次いで、それはもう僅かな期間の間に『珍しい事件』から『人類を脅かす事象』に転じたのでした。 加えて、現存する兵器や手段ではファントムエッジに傷一つ負わせる事が出来なかった事も手伝って、瞬く間に人類は追い詰められていったんです。 そんな時、当時、開発されていた空中都市テラコロニーの試作型が何基か既に試験運用されていた事もあって、生き残った人々はそこに移り住む事で難を逃れました。 もちろん、そこに移り住めなかった人も大勢居て、そんな人たちは地下シェルターとかに避難してもらって、その間に新たなテラコロニーを急造したりもしていましたが、助からない人も大勢居ました…。 こうして、多くの犠牲の上に人類は地上から離れた場所に移り住む事で、ファントムエッジという存在に脅かされる事無く、平穏な日々を再び手に入れる事が出来たんです。 地上では大量に発生していたファントムエッジも、このテラコロニーでは何故か発生しませんでした。 理由は分かりませんが、それでも人々が安寧を手に入れたのは事実です。 …私たちの物語の始まる、西暦21XXまでは――
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