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すると、男性はリュウシの顔に手を添え、彼の顔を見た。
「リユ…か、良い名だ。リユ、私はラクス。この国の王子だ」
「よ、よろしくお願いいたします」
緊張して、ガチガチのリュウシにラクスは言った。
「リユ、そんなに緊張しなくていい。マナーは、極端にひどくなければ気にしないから」
「は、はい」
これでも、王家に生まれたのだから、一応マナーは心得ているつもりだ。
緊張しているのは…
そんなリュウシの手を取り、ラクスは、部屋へと案内する。
さすがに、一部屋がかなり大きい。白い壁に大きな窓。そして、ベッドも大きい。 さらに、トイレ・バスルームつき。
「リユ、ここがお前の部屋だ。私の部屋は、隣にある。眠る時は、基本的には自室で眠る。 ただ寂しくなったら、いつでも私の部屋に来るが良い」
「は、はいっ」
それを聞いたリュウシは、ホッとした。
一緒に寝たりしたら、すぐに男という事が、バレてしまう。
「では、しばらくは、ここでゆっくりと過ごせ。用のある時は、呼びにくる」
カチャリ。ラクスがドアを閉めるとリュウシはため息をついた。
「まったく…僕の父上は何を考えているんだ。万が一バレても国には影響がないからだなんて…」
そう、リュウシの父は、リュウシにこう言ったのだ。
『あちらは、隣国は、女性を1人嫁に出さないと、資金の援助などを少なくするか、止めると言っている。 さすがにそれは困るんだ。我が国は小さいからな。
なに、嫁に出しさえすれば今までどおりにと言われているんだ。
万が一、バレた時は…お前がなんとかしてくれ』
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